本日、9月17日奈良県予選の決勝戦が行われ、これにて全280試合が終了しました。各学校監督様、大変お疲れ様でした。近畿地区大会出場の3校以外は、それぞれ一年生大会や来年に向けて再始動しておられる事と思います。また、それぞれの目標に向けて頑張っていきましょう。
今回は、準決勝2試合と三位決定戦、そして決勝戦を振り返ります。熱き戦いをまとめましたのでご覧下さい。
準決勝 第1試合 信貴山VS十津川学院
2017年組と2019年組の総A対決。それぞれ同期のライバル校、ならのさん・91田原本農業さんを破って勝ち上がってきた。6戦連続二桁安打を放っており、秋に滅法強い経験豊富な信貴山さんと、6戦連続で初回に先制得点をあげて試合の主導権を握り続けてきた新興勢力の十津川学院さんの近畿大会出場と決勝進出をかけた一戦。
試合は序盤、落ち着いた立上りとなる。互いにこの日制球Aとなる信貴山さん先発・狩野君と十津川学院さん先発・大橋君は、それぞれ得点圏までランナーを進めてしまうも失点は許さない投球。3回終わって、ここまでスコアレス。
先制は信貴山さん。4回表、七番河崎君のスリーベースを皮切りに四球も絡んで3点先制する。その後、5回表の頭から継投に入った十津川学院さんは二番手・藤井君にスイッチ。しかし、またも河崎君が今度はソロで追加点をあげる。
初回得点が途絶え、先制まで許してしまい、今大会初めて追掛ける展開となった十津川学院さんは5回裏にタイムリーエラーで2点を返し、尚も一死満塁も好打者・小林君が併殺に倒れ同点の好機を逃してしまう。
すると直後の6回表、信貴山さんは箕輪君のソロと、十津川学院さん主将・楠見君のタイムリーエラーで点差を4点に戻す。これで完全に流れは信貴山さんに。
以降、サブマリン左腕・狩野君を前に持ち前の強力打線は影を潜めてしまい、差を詰めることが出来ない十津川学院さんは、8回表に三番手・北上君に継投したことを機に勝負を決してしまう。代わり端から打たれてしまい被安打5、止めは石川君の3ラン。この回だけで7失点。
8回裏に濱田君のタイムリーツーベース、最終回に四番・内海君の一発と主将・楠見君のタイムリー等で4得点も万事休す。最後は投手の代打・中村君が右飛に倒れゲームセットとなった。
失点後の5回裏に2点返して尚も満塁で同点・逆転のチャンスを活かせなかった十津川学院さんと、その直後にホームラン等で2点を奪ってすぐに点差を戻した信貴山さんとの明暗が、試合の流れを明白にし勝負を分けたと思われる。
そういった意味でもMOMは、箕輪君(信貴山)で決まり。4回に先制した後に流れを途絶えさせないタイムリーを放ち、2点差に詰められた直後の6回にはソロを放ち、ペースを譲らない攻撃を担った。また先頭で迎えた8回には北上君の代わり端にヒットでビッグイニングの起点となり、打者一巡で大西君からはタイムリースリーベースを放ち、この日全4投手から安打を放つ活躍で勝利に導いた。しかし、同時に先発・狩野君の7回1自責点の好投があってのものという事を忘れてはならない。
MIPにはチーム唯一の3出塁を記録した井出君(十津川学院)を選出。この日、五番に降格となるもその高い能力でしっかりとチャンスを演出した。
チームは二桁安打を放つも連打は無く、貰った3エラーは活かすも5四球を活かす事が出来なかった十津川学院さん。また、能力の高い豪華投手陣の4継投でも勢いを止めることが出来なかった。投打共に力を発揮出来ず、力量以上の大差となってしまった準決第1試合ではあるが、秋には三決がある。まだ終わった訳ではない、3位と近畿大会出場に向けて中1日で切り替えて欲しいところである。
準決勝 第2試合 ジョージア工科大VSあすか野
県ランクは僅差であすか野さんが14位、ジョージア工科大さんは16位。ここまでの勝ち上がりは対照的で、6試合連続二桁安打で55得点と打ち勝ってきたあすか野さんに対して、総合力に加えて粘りと要所を締めた攻守にて駒を進めてきたジョージア工科大さんとのこちらも2017年組と2019年組の対決。どちらが勝っても初の公式戦決勝進出&近畿地区大会出場決定となる絶対に譲れない一戦。
試合はジョージア工科大さんの攻撃で動き出す。3回表、投手・小倉君がツーベースで出塁し、松藤君がツーベースで返して先制。一死二塁で注目のバッター宮岡君に回るも追加点は無し。
しかしその裏、あすか野さんは相手エラーも絡めて杉山君・河田君ら中軸がきっちりタイムリーを放ち3点をあげて逆転する。
粘りの投球を見せてきたあすか野さん先発・長野君が5回1/3を被安打5でまとめ、6回に交代すると二番手の岡山君が代わり端に中路君にタイムリーを浴びてしまい、ジョージア工科大さんが1点差に詰め寄る。
しかしまたもその裏、この回あすか野さん先頭の尾崎君がヒットで出塁すると、続く田中君がホームランを放ち点差を3点に広げる。
その後、継投に入ったジョージア工科大さんはリリーフ陣が完璧に抑え、あとは追い付き逆転するだけの状況で7・8・9回に得点圏へランナーを進めるも、あと1本が出ずに後続が倒れてしまい得点は無し。そのまま試合は終わった。
3・6回表に失点を許した直後の裏の攻撃で、それ以上の得点をあげたあすか野さんは終始試合を支配していた印象。ジョージア工科大さんは終盤の3イニングスに象徴されている様に、全8度の得点圏チャンスをタイムリー2本に抑えられてしまった事が悔やまれる。
MOMは林君の代役リリーフを務めた間山君(あすか野)。6回途中の代わり端にタイムリーを許すもその後はしっかり抑え、そして7・8・9回のピンチも自らが招いたとはいえ無失点で切り抜けた。やはり林君が離脱しての投手力ダウン⇒敗戦は、本人と同じだけ他の投手陣も悔しいものとなるはず。そこでプレッシャーを見事に跳ね除けてのリリーフは、内容はともかく3回2/3を無失点という結果を評価しての選出。
MIPには先発した小倉君(ジョージア工科大)を選出。あすか野打線に対し5回1/3を自責点3は及第点。そして何より自らのバットで2の2。先制のホームも踏み、投打に奮闘した。
両チーム共に10安打。打つべき場面・好機で打ったあすか野さんに対し、得点圏であと1本が出なかったジョージア工科大さん、内容は五分なだけに勿体なかった敗戦である。初の決勝進出は逃してしまったが、まだ近畿大会への椅子はあと1脚残っている。三位決定戦を舞台に、奈良2019年組BIG3対決第2弾が行なわれることになった。
三位決定戦 ジョージア工科大VS十津川学院
準決勝から中1日を挟んで迎えた奈良2019年組BIG3対決の第2弾。3位となり近畿地区大会へ出場するのは、第1弾(準々決勝第2試合)を制した十津川学院さんか、高い総合力を誇るジョージア工科大さんか。あらゆる意味でも絶対に負けられない秋季最後の一戦。
試合は初回から見所。先攻のジョージア工科大は、二人が倒れた後、大会屈指の好打者・宮岡君がスリーベースを放ち先制のチャンスも四番・阿部君は倒れる。後攻の十津川学院さんは、染谷君・丸山君は今日も初回からヒットで出塁。そして今日五番に入った濱田君がタイムリーで先制、これで8戦中7戦で初回に先制し、準決以外の先制した6戦では勝利と幸先の良いスタートとなる。
それで士気も高まったか。3回裏、四番に戻った井出君がソロ、また滝川君・井上君の連打で追加点。リードを3点に広げる。
ここらで差を縮めておきたいジョージア工科大さんですが、攻撃は相手先発の菊池君を前に非常に苦しい展開。守備では先発・吉田君がこれ以上の失点は致命傷と言わんばかりに3回以降は踏ん張り失点だけは許さない。
7回途中に継投へ入るも、吉田君の気迫を受け継いだ天野君・小倉君も追加点は許さない。
菊池君好投の中、迎えた最終回の先頭・宮岡君がヒットで出塁。そして、この試合初めてとなる同一イニングでの複数安打となる宮川君のヒットにて、初回以来の3塁到達もサードベースを蹴って宮岡君が一気に生還し、一矢報いた。
初回先制無敗説を継続させた十津川学院さんは最後まで試合の流れを掴んで離さなかった。ジョージア工科大さんは四番・阿部君の不振・ノーヒットが痛かった。前後の三番・宮岡君と五番・佐々木君はそれぞれ2安打と、ロースコアだっただけに打てていれば結果は変わっていたと思われる。
MOMは満票で菊池君(十津川学院)。この落とせない必勝必須の一戦で、被安打5・1失点の完投とは素晴らしい。この舞台でこれ以上ないパフォーマンスであった。
MIPは見せ場をつくった宮岡君(ジョージア工科大)に。大会屈指の好打者は、初回と最終回にチャンスメイク。一二番や四番が打てればその役割は、ハイアベレージ&長打もこの日は孤軍奮闘。サードベースコーチの制止に目もくれず三塁を蹴ってホームに突っ込んだ唯一の生還の場面は、見る者すべての心を震わせた。
第3位 十津川学院
奈良2019BIG3対決を2試合制し、名実共に奈良2019世代NO1となっての奈良県3位は非常に価値のあるものだと思います!世代を代表して近畿地区大会に乗り込み、なんとか1勝をあげて聖地へと駒を進めて頂きたいです。染谷君・丸山君・井出君・楠見君ら上位打線の安定感に加えて、層の厚い投手陣。そして何より捕手・小池君の抬頭なくしてはこの結果はなかったのではないでしょうか?不振を極める内海君に代わって6試合でマスクを被り、守備面で大きくチームの勝利に貢献しました。また出塁率も約4割を誇り、守備一辺倒でないところも評価できます。しかし、内海君もこのまま黙っている訳にはいかないでしょうから、近畿大会へ向けての正捕手争いが、更なるチームの活性化・強化になるに違いありません。
ベスト4 ジョージア工科大
惜しくもあと一歩のところで近畿大会出場は逃してしまいましたが、その実力は奈良県中に知らしめることが出来ました。ABBBBの高い総合力、そして粘り強さは見事で、やはりその象徴となるは4回戦の田原本国際さん戦での激闘。喰らい付いて延長を制し、勢いに乗ってその後も強豪校を破って勝ち上がりました。印象的なのは三番・宮岡君、四番・阿部君、五番・佐々木君の固定です。好打者・宮岡君や主将・佐々木君の起用は分かりますが、今大会不振を極めた四番を固定し続けたのは、きっと今大会だけでなく来年を見据えた采配だったのではと思います。この三決の悔しさを冬のトレーニングにぶつけて、来春以降に強力クリーンアップの軸としてチームを牽引してくれることでしょう。
決勝 信貴山VSあすか野
2017年創立校の総Aカードとなった決勝戦。共に7戦連続二桁安打でここまできた。しかし、互いに準決はそれまでの装いとは異なり、堅実に勝ち上がってきた信貴山さんは大味な勝利。打ち勝ってきたあすか野さんは試合展開をコントロールする勝利と、ベテラン校ならではの幅を見せてきた。秋の強者が秋季連覇か、6大会連続ベスト16以上の締め括りは初栄冠か、この秋280試合目は如何に。
先発はサブマリン左腕・狩野君(信貴山)と、経験・実績豊富な長野君(あすか野)のエース対決。野手オーダーもいつもの顔ぶれ、ベストメンバーが揃ってのプレイボール。
試合は下位打線から動き出す。2回表、信貴山さんは門脇君のソロをきっかけに奥山君・石川君がツーベースで2点を先制する。その裏、あすか野さんは河田君・田中君の連打で1点を返す。
その後は両エースが意地のピッチング。2回を除けば狩野君はノーヒットピッチで、負けじと長野君も被安打1と両者は鬼気迫る投球を魅せる。
6回にあすか野さんは長野君に代えて柳沢君にスイッチするも継投を機に崩れることなく、好リリーフ。狩野君は未だ続投。
信貴山さんは7回表、好打者・奥山君のヒット出塁時に代走を送り追加点を獲りに行く勝負に出るが、後続は凡退。また8回表にも、二番ショートの伊藤君と五番の門脇君の上位打線出塁後に代走を送るも追加点ならず。
守備陣形が乱れ、追加点なしに大幅攻撃力ダウンで迎えた8回裏。ここまで7回1/3を被安打4・1失点とあすか野強力打線を見事に抑え込んできた狩野君のスタミナが尽き、一死一塁の状況で二番手の広島君に継投。するとあすか野さん打線は、代わり端に小林君がヒットでランナーを進め、続く片山君が犠飛にて遂に同点とする。
ラストイニング9回表、あすか野さんは三人目で間山君をマウンドに送るが、先頭に四球で進塁打の後、広島君が直前の失点を取り返すタイムリーで、信貴山さんは土壇場で1点勝ち越すことに成功し、チェンジ。
信貴山さん最後の守り。広島君に代走を送った為、投手は三人目・大見君に継投。あすか野さんは最後の攻撃となる9回裏。
先頭尾崎君が四球で出塁し、続く門間君がヒットと好走塁で、一気に同点・サヨナラのチャンスとなる無死二・三塁とした。両ランナーには代走を起用。
しかし、大見君はここからギアをトップに入れ、河田君・田中君を打ち取る。これで二死二・三塁。
そして、次のバッターは投手・間山君に代えて、代打・横田君にすべてが託された。信貴山さん大見君があと一人を打ち取り逃げ切るか、あすか野さん横田君が一打同点・逆転サヨナラのチャンスを活かせるか……
カウント2B2Sから内野ゴロを狙って、アウトコースやや低めに投じた大見君渾身のカットボールを、ミート力の高い横田君が逆らわずに見事に捉えて打球は右中間へ。
3塁ランナー藤井君は打球の行方を見てからゆっくりと生還。2塁代走ランナー上田君はサードベース手前でトップスピード、3塁コーチは両腕を千切れんばかりにグルングルン全力で回している。
ライト河崎君がボールを掴み内野へ返球、ランナー上田君は3塁を蹴ってホームベース目掛けて突っ込んでいく。セカンド古川君は中継しバックホーム、左バッターボックスの前にて逆シングルでそれを捕球した石川君は左腕を思いっ切り伸ばし、身体を左後方へ捩じって、倒れ込みながらキャッチャーミットをタッチしにいく…
スタンドから見るにほぼ同時のタイミング。
砂煙が舞う中、一瞬時が止まり、球場全員の視線が球審へ注がれる…
『…セーフ、セーフ、セーフッ!!』
僅かにヘッスラで飛び込んだ上田君の左手が先で逆転。なんと二人が返る代打逆転サヨナラ優勝決定2点タイムリーツーベースでの劇的な幕切れとなった。
TPは明白で、代走采配。信貴山さんは7・8回の代走攻勢をかけるもリードを広げられず、守備陣形を崩す。攻撃力も大幅ダウンで迎えた9回のチャンスも1点止まり。最終的には好投手・広島君にまで代走を送り、9回裏は三番手にスイッチ。一方、あすか野さんは、最後のここぞに場面で代走・代打を起用。見事、功を奏した。
MOMは誰が選んでも彼でしょう、横田君(あすか野)。もはや説明不要、優勝の立役者。絶不調の中、後がない場面で見事だった。
MIPも彼しかいないでしょう、狩野君(信貴山)。決勝の舞台で強力あすか野さん打線を最小失点に封じ、終盤までは完全にペースを握り試合を支配していた。
優勝 あすか野
強力打線を武器に足掛け約3年、遂に初のタイトルを獲得されました。やはり6大会連続ベスト16以上というのは驚異的な事で、その安定感は県屈指です。今大会では並み居る数々の新旧強豪校を破っての栄冠で、非常に価値あるものです。忘れてはいけないのが、守護神・林君が負傷により準々決勝前に大会から離脱していたことです。にも関わらず、柳沢君と間山君で見事にリリーフを務めあげての優勝。つまりは近畿大会では更なる戦力で挑むということになります。また落ち着いた采配があったからこそでもあり、監督含めた総力戦だったと思います。優勝おめでとうございます✨
大会MVP 長野友亮投手(2年・あすか野)
全8戦中4試合で先発、1試合でロングリリーフし、通算成績は24回1/3で自責点・失点共に7点。防御率にすると2.59と素晴らしい数字で、強力打線を従えているこのチームなら尚の事問題ない安定感です。林君を欠き、より負担・プレッシャーのかかる大会終盤の登板となりましたが、夏の経験は他の2年生では得ていないものを持っている彼ですから、きっと問題なかったのでしょう。素晴らしい活躍でした。
準優勝 信貴山
奈良・秋の猛者は、惜しくも連覇ならずとも、これで秋季大会3年連続3位以上という圧倒的な成績になりました。同時に近畿地区大会へも3年連続の出場となり、悲願の1勝、そして聖地へ進んで頂きたいものです。私個人的には伊藤君・川田君とSR選手が上位打線で構えているという所にとても魅力を感じます。出来る事なら誰でもURで18名埋めたいですが、きちんと育成され適材として見出し起用して、これほどの結果にまで導かれている事が凄くて夢と力を貰えたような気がしました。この決勝での雪辱は是非とも近畿大会にて晴らして頂きたいものです。
大波乱の今年の秋もこれで終了となりました。278校は、一大や来春など、それぞれの目標に向けて頑張りましょう! そして10月10日からの秋季近畿地区大会に出場される、あすか野さん・信貴山さん・十津川学院さんをみんなで応援しましょう✨
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