今年の奈良一大、16ブロック別に3回戦64校の戦いから、ベスト16校を中心として4・5回戦を振り返り、準々決勝の展望を記しました(11/28)。 準々決勝・準決勝の結果と決勝の展望を追記しました(12/1)。決勝戦の戦評を追記しました(12/3)。
第1・2ブロック
第1ブロックを制したのは、西奈良さん。2019年の活動休止(公式戦は出場)を経て、今年度から再び精力的に活動されています。今大会では戦力を十分に揃えて挑まれ、錚々たる学校を破り見事にキャリアハイとなるベスト16に輝かれました。
第2ブロックを勝ち上がったのは、吉祥さん。唯一、危なかった3回戦の生駒山さん戦でも、堅実な野球で終盤に逆転。5回戦では西奈良さんを破っての準々決勝進出。次も勝てば今年度3回目のベスト4となり、初の栄冠すら窺えます。
第3・4ブロック
第3ブロックを勝ち上がったのは、天高さん。並み居る2017年レジェンド校を次々と破り快進撃を見せた新設校は、今大会で公式戦初勝利からベスト16というキャリアまで駆け上がった。惜しくも5回戦敗退となるも、豊富な戦力は来季が非常に楽しみな新勢力です。
第4ブロックを制したのは、桜ヶ丘さん。2回戦から強豪校との連戦も高いディフェンス力と投手陣の踏ん張りで、5回戦を勝利しキャリアハイとなるベスト8入り。俺甲リリース初年度から地道に続けてこられた成果が、形となって現れています。
第5・6ブロック
第5ブロックを制したのは、あおによしさん。ここまで貫禄すら窺える勝ち上がり。4回戦であすか野さんに対して衝撃の圧勝を見せた勢いそのままに5回戦もコールド決着。投手陣が万全の状態で準々決勝以降に臨めるのは大きなアドバンテージとなります。
第6ブロックを勝ち上がったのは、駒澤大学付属清風さん。強打を武器に4回戦までの内、3試合で二桁得点。5回戦こそ持ち味を封じられましたが、’18秋季の3勝を超えるベスト16入りとなり、公式戦通算勝利数も20勝を超え、来季に繋がる戦いでした。
第7・8ブロック
第7ブロックを勝ち上がったのは、桜井さん。派手さこそ無いものの、簡単でない相手に対しここまで着実に勝利を積み重ねてきた。’17シーズンに奈良を席巻したこの学校は、今年の夏のベスト16を超え準々決勝進出。古豪復活のシーズンを歩まれています。
第8ブロックを制したのは、(県立)大台ケ原さん。4回戦まで自責点は僅か3点と、高い投手力を武器に勝ち上がってきた。5回戦こそ無得点となり敗れてしまうも、キャリアハイのベスト16へ導いた投手陣は、来季以降も活躍が見込めます。
第9・10ブロック
第9ブロックを制したのは、享愛さん。初戦でこそ苦戦するも、以降は貫禄の勝ち上がり。ここまで全試合で二桁安打を記録。投手陣も駒が揃っており、一大連覇へ向けて快調に突き進んでおられる様に窺えます。
第10ブロックを勝ち上がったのは、伊那さん。4回戦までの全試合で、序盤に先制し追加点を挙げて、流れを掴む試合運びで勝ち上がってきた。これまで公式戦通算4勝にも関わらず、今大会では一気に4勝しベスト16の勲章も獲得。来季に向け大きく弾みがつきました。
第11・12ブロック
第11ブロックを勝ち上がったのは、左京さん。登録メンバーが僅か14名にも関わらず、見事な采配で準々決勝進出。中でも3回戦の西大和学院さん戦で競り合いの中、9回に試合を決めたのは、選手層的にも流れ的にも理想形であり、以降の躍進に繋がっています。
第12ブロックを制したのは、司さん。失礼ながら敢えて言わして頂くと、誰がこのブロック勝者を予想できたでしょうか? 新設校ながら限られた戦力を駆使して、見事にベスト16入り。他の新設校に大きな夢と希望を与えた快進撃は、称賛に値します。お見事でした。
第13・14ブロック
第13ブロックを制したのは、ジョン万さん。今年度の鬱憤を晴らすかのような勝ち上がりでベスト16入り。2017年創立校対決となった5回戦では二桁安打に無失策と素晴らしい内容も惜敗。このリベンジは、来春に’18以来の決勝進出にて初の栄冠を目指す事でしょう。
第14ブロックを勝ち上がったのは、おらが村さん。1~3回戦は先行逃げ切り、4・5回戦は逆転勝ちと多彩な戦い方にてベスト8進出。型にとらわれず、対戦相手ごとに作戦を変更して自在に戦うスタンスは地力があってこそのもので、まだ底は見せていません。
第15・16ブロック
第15ブロックを勝ち上がったのは、ジョージア工科大さん。唯一勝ち残った2019年組は、今秋のベスト4はまだ途上中だったと言います。本命は’20世代との事で、この一大には並々ならぬ想いを持って挑まれています。衝撃の5回戦もその現れだったでしょうか。
第16ブロックを制したのは、(私立)大和さん。毎大会安定した戦績を残され、’19~’20の丸2年間を県内では常時3勝以上。今大会ではベスト16入りし、これで通算67勝は県最多勝のならのさんに並びました。レジェンド校の来季の活躍が今から楽しみです。
準々決勝展望
今日の5回戦が終わり、ベスト8が出揃いました。その内、4校はシード校・1校は第1競合回避枠校であり、大荒れの大会の中でさすがと言うべきでしょう。また、それ以外の3校はすべて2017年度創立校であり、やはり俺甲初年度創立校はいずれも地力があるという証拠です。そんな頂点を争うに相応しい8校の戦い、準々決勝を占います。
第1試合 吉祥 VS 桜ヶ丘・・・総合力で勝る吉祥さんは、今日先発した背番号10・渡辺君が準々決勝では登板不可も、それ以外は問題なし。一方、桜ヶ丘さん投手陣は全員登板可能。まずは4・5回戦の様に先制して主導権を握り、エース宇野君を中心にここまで2試合先発の小林君も含めた総力戦で、守り勝つ野球に徹したいところです。
第2試合 あおによし VS 桜井・・・連続コールドで波に乗るあおによしさんは、これと言って死角なし。対する桜井さんが、唯一チーム評価で上回るのは守備力。ここまで5戦で11失点と平均約2失点に抑えている。何とか複数得点を挙げて、公式戦防御率1点台以下トリオの片山君・長岡君・高橋君の継投で相手打線を封じたいところです。
第3試合 享愛 VS 左京・・・一大連覇を狙う享愛さんはチーム評価以上の迫力を感じる戦力。対して少人数精鋭の左京さんは、大一番でエース村田君が起用できないのは非常に苦しい。しかし、高橋君・西田君・杉田君は3名とも揃って、今大会は驚異の自責点0。ロースコア戦に持ち込めれば勝機有りと見ます。
第4試合 おらが村 VS ジョージア工科大・・・大会屈指の総合力を兼ね備えるジョージア工科大さんは、疲労投手2名を抱えながらも5回戦の大一番をコールドで突破できたのは大きい。一方、おらが村さんも中1日で全投手がフレッシュとなる。投手力ではやや上回る印象で、また相手にやや劣るとは言え、打線も一番から八番まで抜け目なく打てる。両先発の出来が試合の行方を決めそうです。
準々決勝結果
第1試合 桜ヶ丘 3 – 4 吉祥・・・互いに初回から打ち合うも3残塁1得点の桜ヶ丘さんに対し吉祥さんは3得点。その後投手戦となるも吉祥さん継投後に桜ヶ丘は得点を重ねて9回で追い付き延長に持ち込む。桜ヶ丘さんは投手陣総力戦で宇野君・小林君らが登板するも、延長となればやはり総合力・選手層で上回る吉祥さんが優勢となり、10回裏に代打サヨナラタイムリーで勝利となった。
第2試合 桜井 4 – 3 あおによし・・・待球対決となったこのカードは、両校が同安打数・同四球数も、明暗を分けたのは失策数。あおによしさん先発の松本君は5回4失点も自責点は被弾での1点のみ。また、上位打線は3名が絶不調とこれまでの勢いを感じれず。一方勝った桜井さんは自慢の守備力で今日は1失策に留め、公式戦防御率1点台以下トリオの片山君・長岡君・高橋君の継投で見事に凌いだ。
第3試合 左京 0 – 8 享愛・・・少人数精鋭で勝ち上がってきた左京さんの原動力、自責点0投手陣の西田君・杉田君を持ってしても、一大連覇を狙う享愛さんの勢いを止める事は出来ず7回コールドゲームに。やはり大一番でエース村田君が起用できなかったのが痛かった。
第4試合 おらが村 3 – 5 ジョージア工科大・・・投手力で上回るおらが村さんは大河原君と沢田君を惜しみない継投で接戦に持ち込むも、8回裏に2失策で2失点を与えてしまい好投実らず悔しい敗戦。対して、エース小倉の温存に成功し勝利したジョージア工科大さんは、相手の四球や失策を逃さない攻撃で勝利。
準決勝結果
第1試合 吉祥 11 – 4 桜井・・・吉祥さんは準決勝にして圧巻の内容で勝利。打線は上位から下位まで打点を上げ、投げては先発した渡辺君がほぼQSで試合を作った。桜井さん自慢の投手陣が打たれてしまう中、高橋君だけは4回無安打と完璧なピッチング。これが呼び水となり、終盤に打ち固めチーム二桁安打や9回裏の宮本君が放った3ランで意地を見せた。
第2試合 享愛 11 – 3 ジョージア工科大・・・優勝候補同士の激突は、意外な結果になった。準々決勝で温存したジョージア工科大さん先発のエース小倉君をなんと初回でマウンドから降ろした享愛さん打線は驚異の5連打で1回表に5得点を先制。3回には3失策もあり更に享愛さんは3点を追加。ジョージア工科大さんは結果二桁安打を放ち、各イニングでランナーを出すも10残塁とあと1~2本出ていれば、また展開も違っていたに違いない。
決勝展望 吉祥 対 享愛
大波乱の一大も結局最後に残ったのは、互いに今年甲子園出場を果たしたベテラン強豪校であり、開幕前に優勝候補だった2校。また、この対決は今年夏の準決勝再戦カードでもあり、奈良県・公式戦の2020年度最後を締め括るに相応しいマッチアップとなりました。
互いのエースが先発し、互いの四番が好機で打ち、互いに無失策でほぼ同スタッツであった夏の準決勝は、今年の県内公式戦で屈指の好ゲームでした。練習試合を含めても、それ以来となる今年度2度目の対戦であり、非常に楽しみな決勝戦です。
ここまで吉祥さんは7勝(内3戦コールド)で55得点・19失点、享愛さんは6勝(内3戦コールド)で57得点・17失点。相手こそ違えど、低失点の吉祥さんと高得点の享愛さんというフェーズ。
吉祥さんは、いつもの固定オーダースタイルで準々決勝以降、ライトの鬼沢君と堀江君を入れ替えたのみ。また各試合での失点は、5点以下と大崩れがない安定した勝ち上がり。
享愛さんは、やはり何と言っても初戦(2回戦)の9回裏が全てです。内容は重複するので書きませんが、この勝利以降は手が付けられない強さを見せて勝ち上がってきました。
準決勝から中1日を挟んでのFINAL、両校投手陣もリフレッシュして挑みます。
過去2度目の決勝進出で初のタイトル獲得となるでしょうか、吉祥さん。
一大連覇と今年度2度目の栄冠を手にするでしょうか、享愛さん。
注目のFINALは、明日12/3の午後13時半、佐藤薬品スタジアムにてプレイボールです!
決勝結果 吉祥 対 享愛
先発オーダーは享愛さん有利の装い。平常以上で絶好調は3名も。対する吉祥さんは、青・紫顔が並ぶも先発投手の平林君(105)は絶好調。
三者凡退の1回表裏の後、2回は互いに相手の失策を活かして1点ずつ得点。
3回裏、無死1・2塁の好機でクリーンアップを迎えるも無得点に終わった享愛さん。
試合が動いたのはその直後の4回表。2死1・2塁の状況で、投手平林君がタイムリーで追加点。それを皮切りに上位打線4連打+失策で吉祥さんは一挙5得点をあげる。
大量援護を受けた平林君は、4回裏からギアを上げ享愛さん強力打線を4イニング連続三者凡退とし、流れは完全に吉祥さんへ。
すると享愛さんは6回途中で先発仲地君(101)から小堺君(102)へ継投。これを機にリズムを変えたい状況。
しかし、小堺君3イニングス目の8回に、成瀬君(145)の2ランでリードを7点へと広げる。
ここまで圧倒的打力・得点力で勝ち上がってきた享愛さん打線を以ってしても、最後まで平林君を捉えることは出来ずに、9回には吉祥さん五番の鬼沢君(188)にソロを浴びてしまい万事休すとなった。
MVPは打って投げての大活躍でチームを初優勝へと導いた平林君。先制タイムリーと4回猛攻の口火を切るタイムリーを放ち打線を牽引し、投げては被安打3本の自責点0はもう完璧でしょう。決勝の大舞台でこれ以上ない活躍でした。
敗れた享愛さんもここまでの勝ち上がり方は横綱相撲。2018年組最多勝となる53勝を積み上げ、来季以降に向けた基盤が完成したに違いありません。
今年最後の奈良・公式戦は、スタッツで完全に上回りながらも敗れてしまった秋の雪辱を晴らす初タイトル獲得となった吉祥さんの優勝で幕を閉じました。センバツ連続出場は叶いませんでしたが、一大優勝メンバーをAチーム・フルメンバーに補填して是非夏での甲子園出場を目指して頂きたいと思います。
素晴らしい戦いでした!吉祥さん優勝おめでとうございました✨
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